2013年5月4日土曜日

メーカー系のC言語案件を持っているSES会社は強みはある

組み込み系Android技術者は「Androidエンジニア」とは違う
の記事の中でメーカー系の現場にいたエンジニアについて触れていたので、少し話を広げてみたいと思います。

過去に私はメーカー系の現場にいたことがあります。
普通のソフトウェア開発現場だと、極端な例ですが、
こんな感じが大体多いと思います。
少し広めな部屋に机が並べられ、その上にPCが置かれているというのがよくある現場です。

メーカー系の現場は、
こんな感じのところの隅っこや隣の部屋などで開発をしていました。
初めてメーカーの組み込み系開発現場のプロジェクトに参画したときは、嫌で嫌で仕方がなかったでした。
メーカーの組み込み系開発では、P社だとかH社だとかF社はかなりの大きな土地に工場を有しており、その土地の一角で開発を行います。外注感もハンパないですが、巨大会社のハグルマ感もハンパなかったです。まさに、「The  ハグルマ」という印象をダイレクトに受けました。マシンもいつの時代だよこれは????という環境で、ネット環境もない現場だったので、調べ物もスマホでしていた記憶があります。
お昼ご飯もそんな広大な土地を確保出来るような場所なので、周辺はあまり飲食店はありませんでした(ていうか工場から出るだけでも時間がかかる)。決まって工場内の巨大な食堂へ。こちらも社員ならば安い社員以外は高いというアウェー感のハンパないものでした。
こんなアウェー感のハンパない現場であったので、ただただ
 「こっちに戻りて〜!!!!」

と思っていました。
結局、半年ほどでプロジェクトにも区切りがついて無事終了したので良かったですが、環境は良い印象は無かったです。
(ちなみに一番の傑作だったのは、工場内の購買?売店で創業者の自叙伝が売っていたのに驚きました。)



少し余談が長くなりました。
そんな環境のメーカーの組み込み系案件でしたが、実はメーカーの組み込み系案件というのは、そんなにどこにでも出回っている案件ではありません。出回っていないというのは、上にも下にもという意味です。商流について制限がある場合もありますが、大体の場合は「昔からの付き合いがあるソフトハウス等のSES会社」に一括発注してしまうため、 一次請けや二次請けあたりで完結してしまいます。さらには規模感も以前からの案件と似たり寄ったりのため、メンバーの増減がそこまでなく、継続して続いて行くことが多いのです。いわゆるクローズドな案件です。(逆にオープンな案件は渋谷のITベンチャーや、東京駅の某大手企業、汐留など、出来る技術者ならば大歓迎といった感じで商流をそこまで問わずオープンに募集している案件です。)
この「昔からの付き合いがあるソフトハウス等のSES会社」というのが、まさに一般的な同業よりも強みあるSES会社です。
このようなクローズドな案件のクライアントであるメーカー系の企業はN社の系列だと割と門戸は広いですが、それ以外のTとかP、Sは全く門戸を開いていません。どちらかというともはや閉じているに近いです。◯バレジーズさんや、◯インキャリー◯ャパンさんのように比較的新しい企業は、どうしても新興勢力なため、新規営業に対して門戸の開いているオープンな企業との取引で事業を拡大して行きます(ネットワークを使った紹介で開拓というよりもテレアポ・飛び込み訪問といった新規開拓での方法で進めやすいため)。逆に言うと、クローズドなメーカー系の案件には入り込みにくいのです。
とすると、昔からの設立2、30年だとかのソフトハウスの方が、クローズドな案件も持っているし、その気になればオープンな案件についても新規で拡大することが可能です。まさに先行者利益というところでしょうか。

しかし現実には、クローズドな案件もオープンな案件も両立している会社は今まで見た事がありません。
  私がこれまで見てきた限りですと、設立2、30年のソフトハウスは現状の取引先との取引だけで事業をなんとか継続させているだけで、新規にオープンな案件に挑んだりはしていません。正確に言うと出来ていません。理由は単純です。
 ・新規でのエンジニアの確保が出来ない
 ・(既存のエンジニアについては)既存の取引先だけで事足りている
という2点です。
中途、新卒ともにですが、正社員の面で見ると求人広告はもちろん出しています。ただエンジニアの採用は新興のSES会社の方が上手です。Webのノウハウを有しているので、転職希望者への訴求がウマいのです。対して古くからのソフトハウスは大抵レトロなコーポレートサイトで、良さの伝わりにくい求人広告が多く、転職希望者には全く刺さりません。というわけで、新人、中途のエンジニアは大体一見、サイトの見た目が良さそうに見える新興のSES会社に行ってしまいます。

もちろん、メーカーの組み込み系案件を持っている会社に強みがあるのはこれだけではありません。金額が高いです。一次請けですと、良い取引先だと一人当たり80万円/月出ています。 商流が軽いから、ということもありますが、クローズドな案件のため、オープンな案件と違って市場比較がされにくく、他社との金額比較もされません。
そうです、現場環境はあまり良いとは言えないかもしれませんが、条件が良いのです、かなり。一次請け企業への支払いが一人当たり80万円/月と言えば、某東京駅のJavaエンジニアの金額と同等です。C言語やC++の技術者が、Javaスペシャリストと同等の価値になります。市場が違うからということですが、凄いもんです。

これは、メーカーの組み込み系案件はおいしく映りますね。
条件がよければ開拓したくなるもんです。
ただフリーランスは商流制限がかかるため基本的にあんまり受け入れてくれないので、その辺は踏まえておきましょう。私のときも商流がアレンジされていました・・・

まとめますと、メーカー系の組み込み案件は、
 ・条件が良い(金額が高い、稼働も異常なほど高くはない)
 ・クローズド案件のため継続率が高い
  (新規参入者が少なく、案件の特性上定期的に発注が期待できる)
という特性を持っていて、SES会社からするとおいしい案件です。
こういったメーカーの組み込み系案件の発注元であるメーカー系企業と直取引があるSES会社さんは、この先も継続して取引が出来るように、良いソリューションの提供に努めるのが良いと思います。