2016年9月13日火曜日

「首都圏なんとかってあったよね」という話

プログラマの人と話をしていて、

「そういえば首都圏なんとかって協同組合あったよね」

という話題が出たので会話が終わった後にググってみたら、会社名が変わっていました。

今回はついでなのでそんな首都圏なんとかについてを記事にします。


■すでに組合ではなくなっている

この首都圏なんとか、という共同組合ですが、現在は完全に協同組合ではなくなっていました。株式会社です。そして現在では「首都圏」という文字も取れて、現在の企業名を日本語訳にすると、

株式会社専門的技術者銀行

だそうです。良いセンスしております。

■規模は?

Wikipediaによると売上29.9億円(2014年8月末現在)と記述されており、コーポレートサイトにもプロエンジニア数2,600人と記述がありました。

これが2,600人月の稼働ということであれば素晴らしいなあと思います。
そんなわけはなさそうですが。

あくまでざっくり計算ですが、1人月単価を計算してみると、

29.9億(年間売上) ÷ 2,600人 ÷ 12ヶ月 = 95,833....円/月

1人月単価が95,833円/月で稼働している個人事業主がいたら、度肝を抜かれます。

コーポレートサイトをさらに見渡してみると、
『派遣料金の平均額(1日8時間あたり)』が記載がありました。首都圏と全国の記載がありましたので、ご丁寧に人数まで記載があるのでざっくり計算すると、

(全国) 77人 × 33,912円/日 × 20営業日 × 12か月 = 626,693,760円
(首都圏)54人 × 37,444円/日 × 20営業日 × 12か月 = 485,274,240円
(合計) 1,111,968,000円→年間売上11億円

29.9億円とはかけ離れております。どっちが正しいのかを確かめる術はありませんが、昨今のSES界隈での技術者獲得の競争激化を考えると、老舗の首都圏なんとかさんと言っても少々29.9億円は難しいのでは?と思います。

ちなみに年間で29.9億円の売上を上げるためには、

(平均人月単価)1,111,968,000円 ÷ (77人 + 54人) ÷ 12か月 = 707,358...  円
(必要人月)  29.9億 ÷ 12か月 ÷ 707,358円(平均人月単価) = 352.2人月

というわけで平均人月単価が70万円くらいであれば352人月が必要です。

■所属技術者数

売上から逆算して上の方で出した人月を考えても350人月あるかな?というのは個人的には少し難しい気はします。コーポレートサイトの記載の人数を合わせると131人ということで131人くらいなのでは?と思ってしまいます。

SES界隈のプレイヤー、特に個人事業主含めた開発リソースの提供に特化したプレイヤーがここ数年でかなり増えました。首都圏なんとかさんのコーポレートサイト及び案件紹介サイトを拝見しましたが、まあ普通です。
(コーポレートサイトの女性社長さん押しはちょっとアレですが。)

このサイトでレバレジー○さんやgeech○さんなどと集客で張り合えるかというと疑問です。「フリーランス 案件」で検索したらこの二強はGoogle Adwordsにもしっかりと出てきました。投資してますね。対して首都圏なんとかさんは表示ありませんでした。

■エンジニア側で見ると

別で元は首都圏なんとかさんで稼働していた、という方にたまたま話を聞けましたが、マージン逓減?のような不思議な制度を取っているらしいです。これが今も継続しているのかは不明ですが、その方が言うには契約期間が長くなればなるほど首都圏なんとかさん側がもらっている中間マージンは逓減していくらしいです。

 最初:売上の25%をマージンとして搾取
 ↓
 段階的にマージンの%が徐々に低下
 ↓
 最終的:10%程度(だったと記憶)

変わった仕組みですね。理にかなっているといえばそうですが。
初期段階とはいえ25%も収益を搾取するのはなかなか秀でています。そんなに恒常的に搾取できれば某企業のようにヒカリエにも入居できます。

とはいえエンジニア側からすると、最大25%も搾取されては売上としては、

525,000円〜630,000円/月(税別?)

がベンチマークかと思います。
これだったら、初めからメジャーどころのプレイヤーに所属した方が良い気がします。

■営業力

あまり存じ上げていませんので、少ないケースで定性的な話にはなりますが、以前に関わったことがある営業員さんは恐ろしくダメな方でした。その時は発注側として関わりましたが、こちらをお客だと思っていないと言いますか、事務対応みたいな印象を受けました。メールを送っても帰ってこないことはよくあったりで。でそのうちいきなり電話がかかってきて話が飛んでいる、という感じでした。電話主体のやり取りだったので、イマドキと言うよりか、ちょっとレトロなスタイルの会社さんなのかな?と思いました。コミュ力とか付き合い方という意味での営業力は乏しい印象です。
極論を言うと、所属技術者の(自社経由での)アサインさえ決まれば何でもいい、という印象でした。


というわけで首都圏なんとかさんのお話でした。
レバレジー○さんなどのプレイヤーが出てきてWebでの集客が中心へと移っていく前のフリーエンジニアのお仕事紹介を支えてくれた会社であることは間違いないと思います。ただ、「時代の流れにはついていけなかったのかな〜」という黄昏感があります。
会社名を変えた時が潮時だったのかもしれません。「首都圏なんとかさんに所属していたよ」、と言ってくれていた方の年齢が皆45歳前後なので、この年代の方達には未だ根強いのかもしれません。
40代中盤以降の方達のフリーランスエンジニアのプラットフォームとなってくれることを引き続き期待しています。